SCENE

誰かの朝、誰かの夜。 すれ違う時間の中に、物語はひっそりと立ち上がる。 喜びや痛みが言葉になる前の、かすかな瞬間をすくい取るように。 これは、世界のどこかで息づく人々の、小さな「場面(シーン)」の記録です。by-魚住 陸 Riku Uozumi

2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧

SCENE#8  ヌルハチ一代記 清朝建国の物語 Nurhaci: Rise of the Qing

ランキング参加中小説家 ランキング参加中小説 novels ランキング参加中KADOKAWA × はてな小説投稿サイト「カクヨム」 ランキング参加中短編小説置場 第1章:英雄の誕生、復讐、そして決意 1559年、満州の建州女真族の首長の子として、ヌルハチは生まれた。…

SCENE#7  一人土俵、魂のうっちゃり 〜諦めなかった男の軌跡 Unyielding Spirit

ランキング参加中小説 novels ランキング参加中小説家 ランキング参加中KADOKAWA × はてな小説投稿サイト「カクヨム」 第一章:土俵際の夢、そして深まる孤独 春場所の土俵際、一人の力士が顔から砂を被って転がった。幕下百五十七枚目、山嵐、二十八歳。入…

SCENE#6   目覚めの空の下で Under the Dawn Sky

第1章:囁き 夕暮れの広場に、情報省が流す「真実の歌」が響き渡る。その音は、ただ耳に届くだけではない。脳の奥深くに直接響き渡り、思考の襞(ひだ)をなでるように均一化していく。 人々は皆、同じリズムで体を揺らし、空虚な目を巨大なスクリーンに向け…

SCENE#5  あるエリートの残像 The Elite’s Shadow

第一章:光と影の契約 「佐々木君、君のこれまでの功績と、この大型契約への貢献は計り知れない。来期の最重要プロジェクトのリーダーは君だ!」 役員の言葉が、佐々木健太の心に熱い炎を灯した。大手総合商社に入社して十年。誰よりも長くオフィスに残り、…

SCENE#4  明智小五郎、事件はいつもご近所から! Mysteries Next Door

第一章 奇妙な依頼と自称の始まり 午前9時。雨戸の隙間から差し込む、薄く埃っぽい光が、ますます薄暗い僕の探偵事務所を心もとなく照らしていた。古びた木製の棚には、背表紙が色褪せた推理小説が所狭しと並び、その間から漂うインクと紙の懐かしい匂いが、…

SCENE#3  ブチとチビの絆 星降る夜の約束 Starry Night Promise

第一章:影と光、そして小さな命の芽生え 凍えるような雨が降りしきる冬の夜、ブチは町外れの廃工場で、今日も一人身を潜めていた。背中の古傷が疼くたび、かつて仲間だった野良犬たちに裏切られた記憶が蘇る。 「人間も、同族も、誰も信じねえ。それが、こ…

SCENE#2  虹色のレンズ Prism

第一章:色を失った世界 健一は、使い慣れた一眼レフのファインダーを覗きながら、ため息をついた。シャッターを切るたび、彼の心にはいつも、10年前に不慮の事故で逝ってしまった恋人、裕司の笑顔が浮かんだ。 裕司が亡くなってから、健一の人生から鮮やか…

SCENE#1  タイム・スクラップ Time Scrape

1. 平凡な日常の異変 俺、田中ユウタ。ごく普通の高校二年生だ。ある日の放課後、いつものように誰もいない旧校舎の裏で、スマホをいじっていた。すると、足元にあった朽ちかけた木箱の中から、妙なものが転がり出た。それは、手のひらサイズの、古ぼけた腕…