2026-05-01から1ヶ月間の記事一覧
第一章:乾いた風の街道、そして巨大な貨物台車 ただひたすらに果てしない、黄色い砂と岩だけの地平線。世界の西から東へと真っ直ぐに突き抜ける一本の交易街道「サクラメント」の上を、一台の巨大な重装甲貨物車が、激しいエンジン音を響かせながら疾走して…
第一章:巨躯の動向、あるいは不確定な肺胞 その大陸の境界線には、最初から大地を規定する絶対的な構造物など存在しなかったのだ。世界の東の果てに横たわる、灰色の岩肌が剥き出しになった峻厳な渓谷。そこには、数千年の歳月を生きながらえ、今やその肉体…
第一章:暗黒の揺りかご その場所には、音というものが存在しない。宇宙船『アイギス号』の最下層にある冬眠室。そこには、何百もの細長いカプセルが、まるで巨大な昆虫の卵のように整然と並んでいて、カプセルの表面は薄い霜に覆われ、内部からは青白い光が…
第一章:消失した秘伝の書 その日の朝、日出処(ひいづるところ)の国、瑞穂国(みずほのくに)の宮廷は、かつてない戦慄に包まれていた。事の始まりは、宮廷菓子職人の長、源内(げんない)が上げた悲鳴だった。彼は、代々の天皇や貴族たちを唸らせてきた「…
第一章:遮断された天球 世界に「影」という概念は存在しない。正確には、地上に届くはずのあらゆる光子が、成層圏を覆い尽くした巨大な黒い膜によって、根こそぎ奪い去られてしまったのである。人々が「ソーラー・キャノピー」と呼ぶその構造物は、全地球の…
第一章:銀河帝国の襲来と、たった一枚の提出書類 その日、地球の空は巨大な鉄の板で覆い尽くされた。宇宙の果てからやってきた銀河帝国「ギガ・ザ・ビュロクラシー」の主力艦隊である。彼らはこれまで、数千の惑星をその圧倒的な軍事力で支配してきた。だが…
第一章:鉄の香りに囚われた二人 かつて工業地帯として栄え、今は波の音だけが響く埋立地の端にある巨大な廃工場。錆びついた鉄板が風に叩かれ、虚ろな音を立てている。その内部、割れた窓から差し込む月光が照らし出す場所に、二人の男が向かい合っていた。…