SCENE

さまざまな人物の場面を切り取るSCENE…SCENEの世界をお楽しみください😊

SCENE#72  なんともバカげた首脳会談?! Ridiculously Absurd Summit!


f:id:Cupidpsyche:20251023164535j:image



第一章:和やかな昼食会と隠された皮肉

 

 


場所は某国の豪華な迎賓館、天井画には平和を象徴する天使たちが描かれている。円卓には、A国首脳のアーチー・ブリズベン(自意識過剰で伝統を重んじる紳士)、B国首脳のベアトリス・コルブ(計算高く、ブランド志向のマダム)、C国首脳のチャンドラ・ダルマ(浮世離れした哲学者)、D国首脳のデューク・エクセル(若くてテクノロジーに傾倒した気取り屋)の四人が着席している。

 

 

 


アーチー: (上質なボルドーを一口。満足げに)ああ、この1982年のボルドー、絶品ですな。我々の四極同盟の「熟成された信頼」を祝うのに、これ以上の象徴はありません。今日の会談が、このワインのように芳醇な実を結ぶことを願って…

 

 

 


ベアトリス: (微笑みながら、グラスを揺らす)ええ、アーチー閣下。貴国が今回の会談のためにご用意くださったおもてなしには、心から感謝していますわ。特にこのトリュフ。さすがは美食の国。ただ、我がB国の最新のトリュフ養殖技術を使えば、この香りがさらに三割増しになりますけれどね!

 

 

 

 

デューク: (スマホでテーブルを360度撮影し、すぐにフィルタリング)SNSのフォロワーが今、20万増えました。この「グローバル・フレンドシップ・ランチ」のライブ感、最高です。アーチー閣下、そのワインもいいですが、僕の国の最新の「VR試飲アプリ」を使えば、いつでもどこでもこの味を楽しめますよ!#平和 #ワールドクラス #テイスティング4D

 

 

 

 

チャンドラ: (瞑想的な表情で、手のひらでワイングラスの縁を撫でる)美味とは、舌の上の幻影。しかし、この瞬間、この四つの異なる魂が、一つの円卓を囲むという「配置の神秘」こそが、真の至福ですな。ワインの年代など、時間の砂粒にすぎません…

 

 

 


アーチー: (デュークを鼻で笑い、チャンドラには軽く頷く)デジタルな偽物の味覚に満足するのは、若い国特有の軽薄さですな。ともあれ、我々の四極同盟は、まさしく世界平和の礎。今日この場で、より強固な信頼関係を築けることを願っております。

 

 

 

 

ベアトリス: ええ。そして、その信頼関係が、貴国との新しい貿易協定において、我が国に有利な「優先的地位」をもたらすことを、心から期待していますわ!

 

 

 

 

 

第二章:些細な亀裂と「文化」の衝突

 

 

 

コーヒータイムに移り、議題は表向き地球環境問題へ。しかし、すでにベアトリスの発言で、経済的な緊張感が漂い始めている…

 

 

 


ベアトリス: 我がB国は、地球温暖化対策において先駆的な役割を果たしています。特に、環境に配慮した「エコ・ファッション」の推進は世界の手本ですわ。全ての公務員にオーガニックコットンの制服を義務付けました!

 

 

 

 

アーチー: ほう。それは素晴らしい!しかし、ベアトリス閣下、貴国の排ガス規制の緩さは国際的に指摘されていますが?エコ・ファッションも結構ですが、貴国の都市の空は、私の国の田舎よりもよほど濁っている。環境はファッションでごまかせませんぞ!

 

 

 


ベアトリス: (一瞬、表情が凍りつくが、すぐに優雅な笑みに戻す)それは、我が国の「自由な経済活動」の副産物ですわ。アーチー閣下のように、古い石炭火力発電に頼りきりの国に、言われたくはありません。貴国の排煙は、隣国に酸性雨を降らせているではありませんか。それに、貴国の国民は皆、地味なウールの服ばかり着ていて、環境意識以前に「美的センス」が欠けている!

 

 

 


デューク: (あからさまに退屈そうな顔で)あのー、僕の国はクリーンエネルギー比率、世界トップクラス。なぜなら、僕の国の太陽光パネルは、デザインもクールで、しかもAIで最適な発電量を予測するんです。環境問題は、もはや「テクノロジーとセンス」の問題で、古いインフラやダサい服の話じゃないですよね。#サステナブル #未来派

 

 

 


チャンドラ: (静かにコーヒーを飲みながら…)雨は、天からの恵み。酸性雨もまた、自然のサイクルの一部。争いとは、水に描いた図形のようなもの。すぐに消える。しかし、デューク閣下。その「クールなデザイン」とやらも、結局は、人間の終わりのない「所有欲」を満たすための装飾にすぎません!

 

 

 


アーチー: まったく同感だ、チャンドラ閣下。テクノロジーの安易な追求は、魂を貧しくする!

 

 

 

 

 


第三章:最初のジャブと経済力の露骨な誇示

 

 

 

雰囲気が、早くも険悪になり始めた。議題は経済協力へ。緊張感は、各首脳の国の経済状況を揶揄する形へと発展していく…

 

 

 


アーチー: D国は若く発展著しいですが、デューク閣下。貴国の財政赤字は目を覆うばかり。その「クールなデザイン」の製品も、借金まみれの国民が買っているのでは?借金で築いた繁栄は、砂上の楼閣ですぞ!

 

 

 


デューク: は?アーチー閣下、貴国こそ「失われた数十年」とか言われてるじゃないですか。貴国の老人は年金でボロボロの経済を支えてるんでしょう?老いて衰退するより、借金してでも未来に投資する僕たちの方が、よっぽど「ダイナミック」。貴国は、経済の「終活」でもしてるんですか?

 

 

 

 

ベアトリス: (ため息をつき、優雅に髪をかき上げる)お二人とも、まぁ落ち着いて…我がB国は、成熟した経済と安定した財政が自慢です。アーチー閣下の国は古すぎて「骨董品」、デューク閣下の国は若すぎて「未熟児」。どちらもバランスが悪い。我が国こそが、世界の「健全な模範」ですわ。

 

 

 

 

チャンドラ: (ゆっくりと)未熟児は、成長の可能性を秘めている。骨董品は、歴史の重みを持つ。しかし、健全とは何か?それは、病が潜む前の静けさにすぎない。不均衡こそが、世界の真実。ベアトリス閣下の「健全な財政」も、いつか崩れる幻想でしょう!

 

 

 


アーチー: ベアトリス閣下!貴国の経済が安定しているのは、隣国を巻き込んだ強引な「貿易協定」のおかげでしょう。それは安定ではなく、「静かなる略奪」と呼びます。他国のパイを削って自分のケーキを大きくしているだけじゃないか!

 

 

 

 

 

第四章:貶し合い合戦の開幕とスキャンダルの暴露

 

 

 

貿易協定の話が、パーソナルな攻撃へとエスカレート。首脳たちは、公然と相手のスキャンダルを蒸し返し始めた…

 

 

 


ベアトリス: 静かなる略奪、ですって?アーチー閣下は、ご自身の派手な趣味に使った公費疑惑を「国家機密」で揉み消したではありませんか!貴方が毎年、スコットランドで狩猟旅行に使っている費用は、我が国の貧困層支援予算の三倍ですよ!貴方の国の国民は、貴方の「高価な葉巻」代のために働いているんだ!

 

 

 


アーチー: 私は国家の威厳を保つために必要最低限の経費を使っているだけだ!貴方こそ、あの「愛犬の美容代」を公費から捻出している件、どう説明するのですか!あの犬は、貴国の「軍事機密」か何かですか!毎週、特注の真珠入りシャンプーを使っていると聞きましたがね!

 

 

 


デューク: (大げさにげらげらと笑い)愛犬ですか。僕の国の「次世代AI秘書」なら、そんな経費はゼロ円ですよ。アーチー閣下、ベアトリス閣下、貴方たちは、デジタル時代の化石です。貴方たちの国の選挙は、未だに「紙の投票用紙」とか使ってるんでしょう?前世紀ですか?僕たちのシステムなら、投票結果が0.03秒で確定しますよ!

 

 

 


チャンドラ: (目を閉じて、静かに、しかしはっきりと)犬は、人間にとって鏡。秘書は、人間のエゴの反映。紙は、森の記憶。投票用紙は、権力の幻影。そして、0.03秒で確定する選挙結果は、考える時間を奪われた国民の「無関心の速度」を示している…

 

 

 


ベアトリス: デューク閣下、貴国のAI秘書は、先日、国家機密をライバル国のSNSに誤送信したと聞きましたわよ?所詮、AIは「未熟児」の国の未熟な玩具。しかも、そのAI秘書は、あなたの秘書官と浮気していたという噂ですが?

 

 

 

 

 

第五章:個人の欠点と容姿への下劣な攻撃

 

 

 

議論は完全に脱線し、もはや国家間の問題ではなく、個人の容姿や癖、ライフスタイルを攻撃する下劣なレベルへと陥っていた…

 

 

 


アーチー: ベアトリス閣下!その厚化粧は、貴方の「内面の空虚さ」を隠すためですか!ファンデーションの層が、貴方の国の積層した財政問題と同じ厚みだ!

 

 

 

 

ベアトリス: アーチー閣下!その立派な顎鬚は、貴方の「薄くなった頭髪」をごまかすためでしょう!しかもその顎鬚、週末は自宅で自分で染めているという情報がありますが!まったく見苦しいわ!

 

 

 


デューク: (大笑いしながら、動画を撮るのをやめない)二人とも、顔面の話ばっかり。ダサい。チャンドラ閣下、貴方の「常に半開きの目」は、瞑想中なんですか?それとも、僕らの話に興味がないフリをしてるんですか?その格好、まるで寝間着みたいですよ!

 

 

 


チャンドラ: (薄く目を開け、デュークを見つめる。静かなる毒を吐く)フリ、も、真実。興味、も、幻。若さ、も、無知。君の「ピチピチのスーツ」は、君の「ピチピチな知性」を表している。そして、そのスーツの高すぎる肩パッドは、君の「埋め合わせようとしている自信の欠如」を象徴している…

 

 

 


デューク: なんですと?スーツを貶すとか、小学生レベルの攻撃じゃないですか?アーチー閣下の「時代遅れのネクタイ」の方がよっぽど酷いですよ!その柄、貴方のお祖父さんの遺品ですか?カビが生えてるように見えますけど!

 

 

 


アーチー: (ネクタイを掴み、顔を赤くする)これは最高級のシルクだ!祖父の遺品ではない!貴様の「光沢のあるプラスチックみたいなスーツ」とは格が違う!貴様の安っぽいファッションは、貴国の文化の薄っぺらさを証明している!

 

 

 

 

 

第六章:ハチャメチャの予兆と備品の投げ合い

 

 

 

四人全員が立ち上がり、テーブルに身を乗り出し、汚い罵声が飛び交う。迎賓館の警護官たちが不安そうにドアの外で待機し、そろそろ止めに入るべきか迷っていた…

 

 

 


ベアトリス: 格ですって!貴方の国の「国民平均所得」は、私の国の半分以下でしょう!貴方の格は、ワイングラスの値段でしか保たれていない!国民に高級なものを見せつけ、見栄を張っているだけだ!

 

 

 


アーチー: 私の国民は、貴国の国民のように「安っぽいドラマ」で現実逃避などしない!貴国の文化は、チープなメロドラマと犬の美容で成り立っている!貴方の国の女性は皆、あなたと同じ美容整形外科に通っていると聞きましたよ!

 

 

 


デューク: (突然、テーブルの上に飛び乗り、照明が反射してスーツがキラキラ光る)僕の国の文化は、世界最新のトレンドだ!貴方たち、全員、SNSで「いいね!」ゼロ!歴史のゴミ箱に捨てられるべき、オワコン首脳だ!リツイートもできないような奴らに世界は任せられない!

 

 

 

 

チャンドラ: (デュークの足首を掴みながら、静かな力で引き下ろそうとする)ゴミ箱、も、また宇宙。オワコン、も、また永遠。座りたまえ、若き愚者よ!君の「飛び跳ねる行動」は、精神的な安定剤の欠如を示している。君は、完全なるドーパミン中毒だ!

 

 

 


デューク: 離せ、哲学者!君の「無意味な格言」は、現実逃避の言い訳だ!君の国の「永遠の停滞」を正当化するな!

 

 

 

 

 

第七章:崩壊と混沌、そしてライブ配信

 

 

 

デュークがチャンドラの手を振りほどこうともがいた結果、バランスを崩し、テーブル中央にあった巨大なフルーツバスケットに両足から突っ込んでしまった…

 

 

 


デューク: うわっ!バナナが!マンゴーが!やめろ、ドリアンが臭い!

 

 

 


フルーツが四方八方に飛び散り、チャンドラはそれを避けようとして、隣にあった花の活けられた巨大なマイセン製の花瓶を肘で倒した。一面は水浸しになり、アーチーのネクタイとベアトリスのシャネルのドレスが濡れてしまった。

 

 

 


アーチー: (ネクタイから滴る水を見て、目を剥いて絶叫!)嘘だろ…私のシルクが!弁償しろ、哲学者!このネクタイはエリザベス女王からいただいたものだぞ!

 

 

 


チャンドラ: (水の滴る顔で、悟ったように…)水は、万物を洗い流す。全ては、無に帰す。貴族の幻影も、女王の贈り物も、この水に消える…

 

 

 


ベアトリスは、自分のドレスにトリュフソースと花瓶の水が飛び散ったのを見て、正気を失ってしまった。

 

 

 


ベアトリス: 私のシャネルが台無しよ!信じられない!もう我慢の限界だわ!このドレスは来月のファッション誌の表紙になるはずだったのよ!

 

 

 


彼女は、テーブルにあった豪華な銀のソースポットを掴み、憎しみを込めてアーチーに向かって振り上げた。

 

 

 

アーチー: やめろ!マダム!私は首脳だぞ!

 

 

 

ソースポットはアーチーの頭上をかすめ、壁に掛けてあった先代国王の巨大な肖像画に直撃。肖像画が大きく傾き、額縁のガラスが派手な音を立てて割れた。

 

 

 


デューク: (バナナとマンゴーまみれの顔で、立ち上がり、スマホを高く掲げる)やべぇ、これ、最高のコンテンツじゃん!肖像画破壊!ライブ配信の視聴者、1000万人突破!コメント欄炎上中! #首脳会談崩壊 #世界はカオス #歴史的瞬間

 

 

 


アーチー: 今すぐ配信を止めろ!国家機密の漏洩だ!

 

 

 


ベアトリス: アーチーのハゲにトリュフソースを塗りつけてやる!もう一発お見舞いしてやる!

 

 

 


チャンドラ: (満面の笑みで、両手を広げる)ハチャメチャ、とは、調和なり!混沌こそが、世界の真の姿!

 

 

 


警護官たちが一斉にドアを突き破って飛び込み、乱闘寸前の四人を引き離そうとするが、彼らもまた、飛び交うパンやナイフや罵声に巻き込まれ、会談会場は完全に戦場と化した…

 

 

 


「なんともバカげた首脳会談」は、国際協調の理念も威厳も全てかなぐり捨てられ、混沌とした阿鼻叫喚の中で、世界中に生中継されながら幕を閉じたのだった…