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SCENE#78  ぼくたちは、騙し騙され生きるのさ… Deceive or Be Deceived


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第一章 🕵️ 発覚!「隠しヘソクリ」の臭いと地球儀の異変

 

 

太郎がこっそり隠していた「プラモ貯金」を花子に見つけられたことから、夫婦の騙し合いバトルが幕を開けた。発端は、リビングに鎮座するアンティーク調の「地球儀型貯金箱」の不自然な軽さだった。

 

 

 

太郎のヘソクリは、限定版ガンプラを購入するための「プラモ貯金」。彼は毎月、給与明細の「通勤手当調整費」を「残業手当」と偽り、そこから少額を抜き取っては、地球儀の北極部分の蓋を開けて投入していた。太郎は「地球儀なら世界平和の象徴だし、まさか中身がガンプラ資金だなんて誰も思わないだろう…」と得意満面だった。

 

 

 

しかし、花子の観察力は世界の七不思議よりも鋭かった。ある日、花子がリビングで掃除機をかけていると、誤って地球儀にぶつけてしまった。いつもなら「ズン!」と重厚な音を立てる地球儀が、今日は「カランコロン…」と空虚な音を立てたのだ。花子は首を傾げ、そっと地球儀を持ち上げてみた。

 

 

 

「あら?こんなに軽かったかしら、この地球儀…?まるで中身が空っぽの、見栄っ張りの男の心みたいに…」

 

 

 

その日の夕食時、花子は意味深な話題を振った。

 

 

 

「ねえ、太郎さん。最近、世界経済が不安定らしいわね。うちの地球儀もなんだかデフレが起きているみたいで、妙に軽いのよ…」

 

 

 

(ビクッ!)

 

 

「は、花子!そ、それは誤解だ!最近、地球の自転速度が変わった影響で、遠心力が弱まって軽く感じているだけだ!物理学だ、物理学だよ!」

 

 

 

(ニヤリとしながら、ガンプラの箱に描かれたロボットの絵を指さして)「ふーん。地球の自転ね。私は、太郎さんが毎月隠している『限定プラモ貯金・インフレ』の影響で、地球儀の中身だけが急激に減っているんだと思うけど?」

 

 

 

この日から、花子の太郎への監視は、NASAの衛星よりも精密に、そして探偵小説よりも巧妙に展開されることとなった。太郎は地球儀の中身がバレたことに冷や汗をかきながら、すぐに「ヘソクリの移転先」を画策し始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

第二章 💼 太郎の「緊急!リモートワーク偽装作戦」と悲鳴の会議

 



ヘソクリの場所を変えるため、太郎は「重要なリモート会議」を装い、花子の目を欺こうとしていた。「デリケートな局面」という隠語を使い、極秘の移転作業を敢行するが、その演技はあまりにも芝居がかりすぎていた。

 

 

 

太郎が選んだ次のヘソクリ場所は、花子がめったに使わない「台所の小麦粉の巨大な保存缶」の底だった。決行の朝、太郎は「今日、超重要な国際会議があるから、絶対に書斎に入らないでくれ!」と花子に厳命。そして、書斎に籠もると、彼は最高の小道具を用意した。

 

 

 

映像: PCの画面には、真面目そうな外国人たちが映るフリー素材の会議風景。
音声: ネットで拾った、複数の人が同時に話す英語の会議の音声をループ再生。
演技: ヘッドセットを装着し、深刻な顔で独り言。

 

 


「…ええ、その『プロジェクトX』のデリケートな局面ですが、私は『隠しフォルダ』のセキュリティを最重要視しています。今日の14時、極秘裏にファイル転送(ヘソクリ移転)を行う必要があります…(小声で)よし、今だ!花子は多分、テレビで韓流ドラマを見てる!」

 

 

 

 

太郎はPC画面に向かって「では、少し『機密文書の印刷(小麦粉缶への埋蔵)』のために離席します!」と言い残し、忍者のように書斎を抜け出した。

 

 

 

しかし、花子は韓流ドラマを一時停止していた。彼女は太郎の「デリケートな局面」「隠しフォルダ」という単語を完全に聞き逃していなかった。花子は静かに台所へ向かい、小麦粉の缶の蓋が開いているのを確認すると、ニヤリ。太郎が戻る前に、彼女は缶の中の小麦粉を大量に、それこそシベリアの雪原かと思うほどの量を抜き取り、カウンターにぶちまけ始めた。そして、その抜き取った小麦粉で、途方もなく巨大な物体を作り始めた。

 

 

 

 

 

 

第三章 🍪 花子の「巨大クッキー大作戦」と小麦粉缶の底の真実

 

 

花子は焼き上げた「巨大すぎるクッキー」で太郎の目をくらまし、その隙に台所へ戻ってヘソクリの最終チェックを行った。太郎はクッキーの恐怖におののき、自滅した。

 

 

 

太郎が「無事、ファイル転送完了!」と安堵しながら書斎に戻ると、視界を塞ぐほどの巨大な物体がデスクの前にドンと置かれていた。それは、直径60センチ、厚さ5センチはある、もはや石板か盾のような巨大クッキーだった。

 

 

 

 「お疲れさま、太郎さん!『デリケートな局面』を乗り越えたお祝いよ!私が愛情を込めて焼いた、特製『全財産入り(?)』クッキーよ!熱いうちにどうぞ、召し上がれ!」

 

 

 

クッキーはあまりに巨大すぎて、フォークで突いただけでフォークの先が簡単に曲がった。太郎は戦慄した。この巨大クッキーを作るために、台所の小麦粉はどれだけ消費されたのか?

 

 

 

(内心)「くそっ、このサイズだと、小麦粉を丸々一袋使っているはず!俺のヘソクリの上に、この悪魔のクッキーが乗っていたのか…!」

 

 

 

太郎は冷や汗を拭いながら、必死でクッキーを齧り始めた。その間に、花子は「ちょっと飲み物と、追加の小麦粉を取ってくるわね」と言って台所へ。花子は小麦粉缶の中を確認し、ヘソクリの包みが空っぽになっていることを確認した。彼女は空の包みだけを缶の底に戻し、代わりに缶の底に、次回予告!と書かれた小さなメモを貼っておいた。

 

 

 

戻ってきた花子の顔は、何も知らないふりの満面の笑み。太郎は巨大クッキーを半分食べたところで、胃が悲鳴を上げ、トイレに駆け込んだ。

 

 

 

(トイレでうめきながら)「うぅ…この腹痛は、クッキーのせいか…それとも、騙し合いのプレッシャーのせいか…」

 

 

 

 

 

 

第四章 💰 妻の逆襲!「趣味の古物買い」と太郎の「ブリキ缶自爆」

 

 

花子は、太郎がヘソクリの場所を特定することに夢中になるよう仕向けるため、彼の「見栄っ張り」な性格を利用した。太郎は花子の高価な古物に対抗心を燃やし、偽装金庫を披露して自ら罠にかかってしまった。

 

 

 

 

翌日、リビングにはピカピカと光る、異様に装飾された「骨董品の壺」が鎮座していた。

 

 

 

「見て、太郎さん!これ、私が前から欲しかった『平安時代の抹茶茶碗を入れる壺』なの!すっごく高かったのよ〜!でも、趣味だから仕方ないわよね?太郎さんの『限定ガンプラ』と同じくらい、一生大切にするわ!」

 

 

 

太郎は花子の言葉に火が付いた。妻が高価な趣味に走った!そうだ!これに対抗するには、自分の金銭感覚も優れていると見せつけなければ!

 

 

 

 「な、何を言う!そんな壺、たいしたものじゃないぞ!俺は、もっとセキュリティ意識が高い買い物をしたぞ!」

 

 

 

太郎は得意げに、クローゼットの奥から持ってきたブリキ缶を披露した。それは、見た目がやけに重厚で、鍵穴とダイヤルがついているが、実際はホームセンターで特売されていた、ただの「おしゃれな小物入れ」だった。

 

 

 

「どうだ、花子!この最新鋭の『指紋認証・30桁パスワード対応・耐火金庫』!俺の今後のヘソクリは、すべてこの中に守られる!お前の壺なんか目じゃないぞ!」

 

 

 

太郎が金庫を撫でるが、興奮のあまり手を滑らせてしまった。ゴトンという音と共に、ブリキ缶の「鍵穴」に見せかけた部分が外れ、中から茶葉のいい香りが漂った。

 

 

 

 

 

 

第五章 🤫 太郎の「ブリキ缶自白」と花子の観察眼の勝利

 

 

太郎の必死の言い訳も空しく、花子はその正体と太郎の次のヘソクリ場所をあっさり見抜いた。夫婦の間に信頼感と茶目っ気が入り混じる。花子はブリキ缶の蓋が開いたのを見て、クスッと笑った。

 

 

 

「あら?その最新鋭金庫、私が昨日スーパーの特売で買った、『静岡県産高級茶葉入れ』にそっくりね。しかも、鍵穴じゃなくて、茶葉を湿気から守るためのゴムパッキンが付いているわよ?」

 

 

 

太郎は顔を真っ赤にして必死に抵抗した。

 

 

 

「ば、馬鹿な!これは最新技術で、鍵穴を『茶葉センサー』で偽装しているんだ!そしてこれは、非常食としての茶葉だ!」

 

 

 

「ふふ。そうね。でも、太郎さん。中身は空っぽよ。そして私はもう知っているわ。太郎さんが『寝室のクローゼットの、使っていないハンガーの真ん中の空洞』に、『最新鋭ガンプラ設計図(実は予約金の包み)』を隠していることを…」

 

 

 

 

太郎は完全に絶句した。いつの間に、どうやって?花子は笑いながら種明かしをした。

 

 

 

「ハンガーの空洞は、私が先週、夏の服と冬の服を入れ替えた時に気づいたの。そして、その包み紙には、『太郎様の夢と希望(ガンプラ予約金)』って書いてあったわよ?」

 

 

 

 

 

 

第六章 🤝 一時休戦協定!「共通の敵」の出現と夫婦の共闘芝居

 

 

 

共通の敵である「近所の噂好きのおばちゃん」が、二人の隠し事を探りに来たことで、夫婦は一時休戦することとなった。息の合った嘘で危機を乗り越え、騙し合いのレベルを一つ上げたのだ。

 

 

 

翌日の午後、突然インターホンが鳴り響いた。モニターには、近所で有名なゴシップ収集家、山田さんの顔。彼女は太郎の「リモート会議での独り言」と「台所での異常な小麦粉の消費」を嗅ぎつけていた。

 

 

 

「あら〜奥さん!ちょっとお宅の旦那さんのことで心配なことが!昨日、ヘッドセットで『デリケートな局面』とか『隠しフォルダ』とか…もしかして、大企業の機密情報漏洩事件に巻き込まれているんじゃありませんか!?私、心配で眠れなくて!」

 

 

 

花子と太郎は一瞬顔を見合わせた。ここでヘソクリの件がバラされては、夫婦間の騙し合いという「健全な遊び」が、近所中の笑いものになってしまう!これは、お互いにとって「共通の敵」だ!

 

 

 

(声を揃えて、プロの俳優のように)「あぁ、あれはですね…実は、『夫婦で始めたYouTubeチャンネル』のネタ合わせなんです!『デリケートな局面』は、動画編集でのNGシーンのことで、『隠しフォルダ』は、山田さんに見せられない失敗料理の動画のフォルダのことなんです!」

 

 

 

太郎は演技を続けた。

 

 

 

「昨日の巨大クッキーも、視聴者にインパクトを与えるための企画で!花子に『巨大料理の失敗』という設定でやってもらったんですよ!」

 

 

 

山田さんは拍子抜けした顔で帰っていった。危機を乗り越えた二人は、そっとハイタッチを交わした。

 

 

 

 

 

 

第七章 🎉 終戦は「愛のいたずら」の始まりと、次の戦場へ

 

 

騙し合いの緊張感が解けてしまい、二人は騙し合うことが「愛のスパイス」であり、「円満の秘訣」になっていることに気づいた。花子はヘソクリを返却し、二人は次の騙し合いの「ルール」について語り始めた。山田さんを追い返した後、太郎と花子はソファーにどっしりと座り込み、しばらくの間、大声で笑い続けた。

 

 

 

「ははは!お前、あの時の『失敗料理の動画』ってよく言えたな!俺の頭の中は、ガンプラのことしかなかったぞ!」

 

 

 

「太郎さんだって、あのブリキ缶を『最新鋭金庫』ってドヤ顔で言ってたの、こっちは笑いを堪えるために、唇を噛み切るところだったわよ!」

 

 

 

花子は笑いながら、太郎の手に、さっきクローゼットから回収したヘソクリをそっと乗せた。

 

 

 

 「はい、これ。次の限定プラモの費用よ。でも、次はもっとバレにくいところに隠すこと。じゃないと…回収しちゃうわよ?」

 

 

 

太郎は真面目な顔でヘソクリを受け取った。

 

 

 

「くっ…次は絶対に、お前の予想だにしない場所に隠してやるぞ!床下のネズミの巣の横とか、テレビのリモコンの電池ボックスとか…!」

 

 

 

「ふふ。そうね。だって、その方が私たちの日々が面白いでしょ?でも、一つだけルールを決めましょうよ。健康に害のある場所に隠すのは禁止ね!」

 

 

 

「了解だ、花子。次は、俺の番だぞ!」

 

 

 

太郎は早速、ヘソクリを新たな「見つけにくい場所」へ移動し始めた。花子はそれを見送りながら、静かにメモ帳を開き、新しいメモを書き込んだ。

 

 

 

【太郎の次の隠し場所候補リスト】

 

床下のネズミの巣の横(却下。不衛生)
テレビのリモコンの電池ボックス(面白い。要注意!)
玄関の傘立ての柄の中(ベタだが、見落とすかも…)

 

 

 


「さあ、次の戦場はどこかしら?」