第一章:いものすけ、村を救う大発明!?
いものすけが盗賊を捕らえてから数ヶ月。のんびりぼけ村に、かつてない旱魃(かんばつ)の危機が訪れました。田んぼはひび割れ、畑の作物も枯れかけています。親父の一本気や村人たちは、毎日、雨よ!降れ降れ~と雨乞いの儀式を行っていましたが、一向に効果はありません。
そんな中、いものすけは井戸のそばで、いつものように何かをゴソゴソとやっていました。そこへ村一番の負けず嫌いな農家、いばらのとげぞうが通りかかり、冷ややかな視線を投げかけます。
「やい、いものすけよ!こんな時にお前は遊んでばかりか。このままじゃ村は干からびてしまうぞ!」
いものすけは、とげぞうの言葉にも動じず、大きなひょうたんに井戸水を汲むと、それを片手に畑へと走っていきました。しかし、足元がおぼつかないいものすけは、やはり、畑の真ん中でつまずいてしまいます。ひょうたんから勢いよく飛び出した井戸水は、見事な放物線を描いて空へと舞い上がりました。
「ああ! 井戸水が空に逃げていくー! 待ってくれー! 親父、井戸水が家出したぞー!」と、いものすけが叫んだその時、天高く舞い上がった井戸水は、太陽の光を浴びて虹色に輝いたのです。
すると、その虹の光が村中を照らし、まるで魔法のように、空から大粒の雨が降り始めたのです。
「うひょ~雨だ! 雨だー!」
村人たちは大喜び。とげぞうも「まさか…ウソだろ…」と呆然と立ち尽くしています。いものすけは、ずぶ濡れになりながらこう叫びました。
「あれ? 俺、雨乞いの儀式に井戸水を加えたら効果が出るって、誰かに聞いたっけ? 親父への愛を井戸水に込めたら、雨になったぞ! 親父、俺、レインメーカーになったぞー!」
親父の一本気は、呆れ顔ながらも「たまたまだ…」と呟き、しかしその顔には少しの誇らしげな笑みが浮かんでいました。お花は、いものすけがずぶ濡れになって喜んでいる姿を見て、そっと傘を差し出してくれました。
第ニ章:いものすけ、村の文化祭で大恥?!
のんびりぼけ村では、年に一度の文化祭が開催されることになりました。いものすけは、親父の一本気に「絵でも描いてみろ!」と勧められ、芸術の才能を開花させようと意気込みます。その様子を、村に住み始めた物知りハカセが興味津々で観察していました。
いものすけは、和紙を広げ、筆を握りしめると、村一番の絶景である「夕焼けと富士山」を描き始めます。しかし、いかんせん集中力が続かないいものすけは、途中で筆を投げ出し、遊びに行ってしまいました。ハカセは、「彼の行動には何か深い意味があるはずだ…!」と紙にメモしています。
夕方、絵の具が乾いた頃に戻ってみると、なぜか彼の絵はすでに完成していました。しかし、それは富士山でも夕焼けでもなく、彼の家の飼い犬である「ぽち」が絵の具の入った桶に足を踏み入れ、和紙の上を駆け回った跡でした。
翌日、文化祭の会場に飾られたいものすけの作品は、村人たちの間で大評判となりました。
「これは『犬の足跡』という現代アートだな!」
「なんと、いものすけは芸術家だったのか!」
村人たちは口々に称賛しました。ハカセは「これは、偶然が生み出した必然の芸術だ! タイトルは『犬の咆哮』…いや、『足跡の哲学』だな!」と熱弁を振るいます。
それを聞いていものすけは、恥ずかしそうに顔を赤らめました。
「いや、これは…えっと…ぽちが描いてくれたんです! 僕は監督しただけです! タイトルは『愛犬ぽちの心の叫び』だ! 親父、俺、名プロデューサーになったぞー!」
またもや調子のいいことを言いました。親父の一本気は、またしても頭を抱えましたが、お花は彼の絵を見て、一番に拍手を送ってくれました。
第三章:いものすけ、村の危機を救う!?
文化祭から数日後、村の裏山に住む動物たちが、畑の作物を荒らしにくるという事件が頻発しました。とげぞうは「いものすけの畑だけは荒らされていない…どういうことだ!」と訝しげな顔をしています。
そこで、いものすけが立ち上がりました。
「よし! 俺が動物たちと友達になって、畑を荒らさないように説得してくるぞ!」
そう言って、彼は畑に一本だけ残っていた大きな大根を手に、裏山へと向かったのです。裏山に着くと、いものすけは動物たちに向かって、大根を掲げながら熱弁を振るいました。
「みんな! この大根は、僕が丹精込めて育てたんだ! だから、どうか食べないでほしいんだ! その代わり、僕の畑で採れたサツマイモを好きなだけ食べていいから! 大根を食べたら、僕、泣いちゃうぞ! 僕が泣いたら、親父がげんこつをくれるんだ! 親父のげんこつは痛いんだぞー! 親父のげんこつは、雷よりも怖いんだぞー!」
動物たちは、キョトンとした顔でいものすけを眺めていましたが、やがて彼の周りに集まってきました。いものすけは、サツマイモを動物たちに差し出すと、動物たちは美味しそうにそれを食べ始めました。
その日から、動物たちは畑を荒らすことはなくなり、いものすけは動物たちと友達になりました。とげぞうは「くそっ…あいつにだけいい思いをさせるなんて!」と悔しそうにしながらも、動物たちが畑を荒らさなくなったことに安堵の表情を浮かべました。村人たちは「いものすけ、よくやったぞ!」と彼を称賛しました。
「俺は動物語を話せるんだ! 親父、俺はドクター・ドゥリトルになったぞー!」と、いものすけは自慢げに胸を張りました。親父の一本気は、またげんこつを食らわせましたが、その顔はとても嬉しそうでした。
第四章:いものすけ、村のアイドルになる?!
すっかり、動物たちと友達になったいものすけは、村のアイドル的存在になっていました。そこに、都会から来た一人の絵師、さくらがやってきました。
「あ~イヤだ、イヤだ!こんな田舎、退屈なだけだわ…」
流行りの錦絵の題材を探していたさくらは、村人たちからその評判を聞いて、いものすけのドジな行動に興味を持ち出し、彼の後を追いかけるようになったのです。
いものすけは、村の広場で「かくれんぼ」をして遊んでいました。しかし、隠れるのが苦手ないものすけは、顔だけを木の陰に隠し、体は丸出しになっていました。さくらは「ぎゃはは! 面白い人!」と笑いながら、筆を手に、彼の姿を和紙に描き留めます。
「いものすけ、見~つけた!」と子供たちが叫ぶと、いものすけは慌てて木から飛び出し、やはり勢いよく転んでしまいます。
いものすけのそのドジな姿を描いた錦絵は、さくらによって江戸の都で版画にされ、瞬く間に大評判になりました。「のんびりぼけ村には、ドジな名物男がいるらしい!」という噂が広まり、いものすけの錦絵は飛ぶように売れました。
「あれ? 俺、絵のモデルになってたのか? 知らなかったな…僕の転び方には、哲学があるんだ! 『人生はいつも、予期せぬ転倒から始まる!』…なんてね! 親父、俺、人気絵師のモデルになったぞー!」
いものすけは、またもや呑気なことを言いました。親父の一本気は、もうげんこつを食らわせる気力もなく、ただただ呆れていました。
第五章:いものすけ、奇跡のメロディと村の伝統
いものすけのドジっぷりが、のんびりぼけ村の新たな名物となり、村は活気を取り戻していました。とげぞうは、いものすけのおかげで自分の畑の野菜がよく売れるようになり、不満を言いながらも、いものすけの存在を認め始めています。ハカセは、いものすけの行動を観察するために村に定住し、さくらは村の生活にすっかり魅了されていました。
そんなある日、村に伝わる大切な祭りの準備中に、村の楽器が壊れてしまいました。祭りの担当者は頭を抱え、村中に重い空気が流れます。いものすけは、その様子を心配そうに見つめていました。
いものすけは、何か手伝おうと納屋に入りました。彼は、親父から「触るなよ!」と言われていた古い農具に、うっかり足を滑らせてぶつかってしまいました。その拍子に、農具が次々と床に落ちてしまい、何か不思議なリズムを刻み始めました。
「おや? なんか面白い音がするぞ!」
いものすけは、壊れた農具をバチ代わりに、軽快なリズムを刻み始めます。その音は、まるで昔から村に伝わるメロディのように、村人の心に響きました。
物知りハカセが「これは、古い祭りのリズムに似ている! 彼のドジが、失われた村の伝統を蘇らせたのだ!」と叫びました。
親父の一本気は、いものすけがまた何かやらかしたのかと心配していましたが、そのメロディを聞いて、若い頃の記憶が蘇りました。一本気も若い頃、祭りのリズムを間違えて、偶然似たような音を出していたのです。「まったく…お前は俺にそっくりだ…」親父は呆れながらも、嬉しそうに呟きました。
お花も、いものすけのドジな姿を笑いながら、彼のことを少しずつ意識するようになっていました。ある日、いものすけがお花に「お花殿…この村を、もっともっと面白い村にしたいんだ! 僕のドジで、みんなが笑顔になるなら、僕は毎日だって転んでみせるぞ!」と真剣な顔で話しました。
お花は、少し驚いた顔をしながらも、「いものすけさんなら、きっとできるわ! でも、転びすぎて怪我しないでね!」と微笑んでくれました。
いものすけは、今日も元気に畑を耕しています。たまに、種を蒔き間違えたり、派手に収穫の時期を勘違いしたりするけれど、彼の周りには、いつも笑い声が絶えません。ドジでマヌケ、でもどこか憎めない。それが畑いものすけ。そして、そんな息子を呆れつつも温かく見守る親父の畑一本気。彼らがいる限り、こののんびりぼけ村の毎日は、きっと退屈することはないでしょう…
◆Part1も、合わせてご覧ください😊
SCENE#22 転んで笑って福が来る!畑いものすけ、今日もやらかします! Fall, Laugh, Repeat - SCENE