SCENE

誰かの朝、誰かの夜。 すれ違う時間の中に、物語はひっそりと立ち上がる。 喜びや痛みが言葉になる前の、かすかな瞬間をすくい取るように。 これは、世界のどこかで息づく人々の、小さな「場面(シーン)」の記録です。by-魚住 陸 Riku Uozumi

SCENE#342    地下には悪いウワサがあって… The Basement Has a Dark Secret… It’s Pathetic

第一章:暗黒の階段、震える勧誘

 

 

 

 

 


「ダメだ。これ、絶対ダメなやつ……」

 

 

 

 

 


大学生の健は、古びた○○ビルの非常階段の前で、膝をガクガクと震わせていた。壁には剥がれかけたポスター。そこには、赤黒いスプレーで『地下には悪いウワサがある…』と殴り書きされていた。その文字の横には、なぜか可愛らしい毛糸の玉のイラストが添えられている。このアンバランスさが、逆に恐怖を煽っている。事の始まりは、一通の怪しげな招待状。

 

 

 

 

 


『今夜零時、○○ビル地下最下層の密室にて。男たちの魂が激突する。敗者に待つのは、絡み合う絶望のみ。勇気ある者、指先に命を懸けよ!』

 

 

 

 

 


思えば健は、最近の生活にずっと退屈していた。格闘技は好きだったが、経験はない。しかし、何か刺激的な「地下格闘技」の世界があるならば、少しやってみたい。そんな好奇心に負けて、この場所に辿り着いてしまったのだ。ギィィ、と錆びついた扉を開けてみると、そこには地下へと続く長い階段があった。一歩下りるたびに、カビ臭い空気と、何かが擦れるような「シュッ、シュッ」という不気味な音が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 


「……血飛沫の音か…それとも、肉を切り裂くナイフの音なのか…」

 

 

 

 

 


健は生唾を飲み込んだ。最下層に辿り着くと、さらに頑丈な鉄扉があった。隙間からは、眩いばかりの照明の光が漏れている。

 

 

 

 

 


「……よし。ここまで来たらやるしかない…」

 

 

 

 

 

 


健は勢いよく扉を蹴破った。

 

 

 

 

 


「たのもー! 俺を、この地下格闘技の仲間に加えろー!」

 

 

 

 

 


静まり返る室内。しかしそこに広がる光景は、想像していた血生臭いリングではなかった。中央には、巨大な円形の畳が敷かれ、その上には、身長二メートルはあろうかという筋肉の塊のような大男たちが、円陣を組んで座っている。彼らは全員、上半身裸。血管が浮き出た太い腕、傷跡だらけの胸板。威圧感だけで人を殺せそうな面々が、一斉に健を睨みつけた。

 

 

 

 

 

 


「……なんだ、小僧。新入りか?」

 

 

 

 

 


リーダー格と思われる、眉間に深い傷のある男――通称『地獄の番犬(ケルベロス)』が、地鳴りのような低い声で言った。

 

 

 

 

 


「あ、あの、そうです。格闘技を、やらせてほしいと思って……」

 

 

 

 

 


「ほう、覚悟はできているんだろうな。ここは、一度足を踏み入れたら、指の一本や二本、動かなくなるまで帰さんぞ!」

 

 

 

 

 


さっそく、ケルベロスは、懐から「それ」を取り出した。なんとそれは、五色に輝く最高級の「刺繍糸」だった。

 

 

 

 

 

 


「……は?」

 

 

 

 

 

 


「さあ、座れ。今夜の対戦相手は、あっちの『首狩りジョー』だ。……あやとり、三番勝負。逃げ道はないぞ!」

 

 

 

 

 


健の目の前に座ったのは、クマのような大男だった。首狩りジョーは、小さな輪っか状の糸を、太い指先に器用に引っ掛けながら、獰猛な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 


「ふっ……覚悟しろよ。俺の『はしご』は、地獄まで続いてっからよぉ…」

 

 

 

 

 

 


地下最下層、筋肉だらけの密室。わけも分からぬままに今、世界で最も平和で、かつ最もシュールな「指先の戦争」の火蓋が切って落とされた…

 

 

 

 

 

 

 

 


第二章:指先の戦慄、絡まるプライド

 

 

 

 

 

 


試合開始の合図は、ゴングではなく、小さな鈴の音だった。

 

 

 

 

 


「一回戦、レディー……ゴー!」

 

 

 

 

 


健の向かい側に座る、首狩りジョーが、驚くべき速さで糸を操り始めた。親指から小指へ。中指をくぐらせ、薬指で引き抜く。その太い、丸太のような指が、繊細なレースを編む乙女のようにしなやかに動く。

 

 

 

 

 


「……なんだ、そのスピードは!? 肉眼で追えない!」

 

 

 

 

 


健は驚愕した。ジョーの指先が動くたびに、糸が「シュッ」と風を切る音を立てる。先ほど階段で聞いた不気味な音の正体は、これだったのだ。

 

 

 

 

 


「見ろ! ジョーの『逆さ富士』だ! なんて攻撃的な角度なんだ!やべぇー」

 

 

 

 

 


周囲の男たちが、興奮で叫び声を上げる。

 

 

 

 

 


「あ、あんなの取れるわけない! あんなに鋭い角度で糸を渡されたら、指が絡まってしまう…」

 

 

 

 

 

 


健は必死にジョーの出した形を分析してみた。それは、確かに美しい富士山の形をしていたが、どこか禍々しい殺気を放っている。

 

 

 

 

 


「……落ち着け。落ち着くんだ。ここを……こうして、裏側からすくえば……」

 

 

 

 

 

 


健は震える指を糸にかけた。グイ、と引き抜く。ジョーの指から糸が離れ、健の両手に「田んぼの形」が現れた。

 

 

 

 

 


「……ほう。やるじゃねぇか、小僧。俺の富士山を、こうも鮮やかに耕すとはな!」

 

 

 

 

 


ジョーの瞳に、ライバルとしての敬意が宿った。

 

 

 

 

 


「だが、これはどうだ! 必殺、四段はしご!」

 

 

 

 

 


ジョーは、健二が作った田んぼを、電光石火の勢いで組み替えた。糸は複雑に絡み合い、もはやどこに指を入れればいいのか分からない「迷宮」へと変貌した。

 

 

 

 

 


「……ヤバい、これ、どうなってるんだ? こっちを引っ張ったら、全体が結び目になってしまう……」

 

 

 

 

 


健の額から、大粒の汗が畳に落ちた。周囲の男たちは、息を呑んで見守っている。静寂の中に、男たちの荒い鼻息だけが響いている。

 

 

 

 

 


「どうした、小僧。取れないのか。……取れなきゃ、お前の負けだな。敗者は、一晩中、みんなの靴下の繕い物をしてもらうぞ!」

 

 

 

 

 


「……そんな、地味な拷問は絶対に嫌だ!」

 

 

 

 

 


健は、限界を超えた集中力を発揮した。彼の目には、糸の流れが、光り輝く導線のように見え始めた。物理学。幾何学。そして、母に教わったあの日の温もり。すべての記憶を指先に集中させ、健二は迷宮の最深部にある一本の糸を、小指の先でひっかけた。

 

 

 

 

 


「……おりゃあ!」

 

 

 

 

 


パチン、と糸が跳ねた。健の両手に現れたのは、これ以上ないほど均整の取れた「カエル」の形だった。

 

 

 

 

 


「バ……バカな! 俺のはしごを、カエルに跳び越えられただと!?」

 

 

 

 

 


ジョーは、ショックのあまり畳に倒れ込んだ。

 

 

 

 

 

 


「一回戦、勝者……健!」

 

 

 

 

 


審判のケルベロスが宣言した。室内に、割れんばかりの拍手と、野太い歓声が沸き起こった。健は、自分の指先が、熱いエネルギーで満たされているのを感じた。これは、ただの遊びではない。男の意地と、糸の可能性を追求する、究極の「バトル」なのだ。

 

 

 

 

 

 

 


第三章:涙の特訓、糸の極意

 

 

 

 

 


一回戦を終え、休憩時間に入った。健には、高級なプロテイン飲料と、指先の滑りを良くするための特製パウダーが差し出された。

 

 

 

 

 


「小僧、いい筋をしているじゃないか。だが、次の二回戦は、あやとり界の重鎮『お星さまの鉄』が相手だ。彼は、糸だけで銀河系を表現すると言われているのだ!」

 

 

 

 

 


ケルベロスが、神妙な顔でアドバイスを送ってきた。

 

 

 

 

 


「……銀河系? そんなの、可能なんですか?」

 

 

 

 

 


「ああ。だが、彼の弱点は『情にもろい』ことだ。いいか、あやとりは技術だけじゃない。心だ。糸に心を乗せるんだ!」

 

 

 

 

 


健は、部屋の隅で、筋肉モリモリの男たちが、真剣な顔で「箒(ほうき)」や「蝶々」を練習している姿を見た。一人の男が、糸が絡まって解けなくなり、「うわああ、俺の蝶々が死んだあ!」と号泣している。また別の男は、「見てくれ、俺の新作『土星の環』だ」と自慢げに披露しているが、どう見てもただのグチャグチャな輪っかだった。しかし、彼らの目は、真実を追い求める修道士のように純粋だった。

 

 

 

 

 

 


「……みんな、バカみたいに真面目。地下格闘技って、もっとこう、骨が折れる音がする場所だと思ってたけど……」

 

 

 

 

 


「骨は折れんが、心は折れるんだ。さあ、二回戦だぞ!」

 

 

 

 

 


そして、対戦相手の『お星さまの鉄』が、前に座った。彼は白髪混じりの、枯れた魅力のある老人……ではなく、ボディビルの大会で優勝しそうな、テカテカの黒光りした巨漢だった。

 

 

 

 

 


「おい……若いの。お前のカエルは見た。だが、私の宇宙を飛び越えることはできんよ…ハッハッハ」

 

 

 

 

 


鉄は、細く強靭なシルクの糸を取り出した。

 

 

 

 

 

 


「二回戦、開始!」

 

 

 

 

 

 


鉄の指が動いた瞬間、室内の照明が消えた。いや、消えたのではない。彼の操る糸があまりにも速く、美しいため、周囲の光がそこに吸い込まれているように錯覚したのだ。鉄の指先に、一つ、また一つと、小さな星の形が生まれていく。

 

 

 

 

 


「……一等星、二等星……。そして、これがオリオン座だぁ!」

 

 

 

 

 


鉄の両手には、完璧な星座が浮かび上がっていた。

 

 

 

 

 

 


「……すごい。……綺麗、綺麗すぎる……」

 

 

 

 

 


健は、その芸術的な造形に、戦意を喪失しかけていた。これこそが、地下に伝わる「悪いウワサ」の正体――あまりにも美しすぎて、見た者の人生観を変えてしまう、魔のあやとり。

 

 

 

 

 


「……あきらめるな、健! 星座なんて、ただの点と線の集まりだ!」

 

 

 

 

 


観客席から、ジョーが叫んだ。一度戦ったライバルの応援。

 

 

 

 

 


「……そうだ。俺には俺の、身近な宇宙がある!」

 

 

 

 

 


健は、鉄が差し出した星座の糸に、両手を突っ込んだ。彼は星座を破壊するのではなく、それをさらに別の形へと昇華させようとした。

 

 

 

 

 


「……俺が作るのは、星座じゃない。……これだ!受けてみろ!」

 

 

 

 

 


健が引き抜いた糸は、丸く、どこか温かい形をしていた。

 

 

 

 

 


「……なんだ、これは? 星ではない……。だが、なんだか懐かしい匂いがする…」

 

 

 

 

 

 


鉄が、驚きに目を見開いた。

 

 

 

 

 

 


「……これは、『お母さんが作ったおにぎり』だぁ!」

 

 

 

 

 

 


「な……なんと!? おにぎりだと!?」

 

 

 

 

 


鉄は、その形を見た瞬間、かつて自分を厳しく、かつ優しく育ててくれた故郷の母を思い出した。

 

 

 

 

 


「……アカン、アカンわ……。おにぎりは、反則やて……。なんかお腹、空いてきたわ……」

 

 

 

 

 

 


鉄の目から、大粒の涙が溢れ出した。

 

 

 

 

 


「……負けた。……私の宇宙は、一握りのおにぎりに敗北したのだ……」

 

 

 

 

 

 


鉄は、泣きながらおにぎりの糸を頬ずりし、戦線を離脱した。

 

 

 

 

 

 


「勝者……健!」

 

 

 

 

 

 

 


地下最下層は、再び歓喜の渦に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 


第四章:最終決戦、絡まり合う運命

 

 

 

 

 

 


ついに、最終三番勝負がやってきた。相手は、この地下格闘技団体のトップ――『地獄の番犬(ケルベロス)』その人である。ケルベロスは、ゆっくりと立ち上がり、自分の筋肉を誇示するようにポーズをとった。

 

 

 

 

 


「……小僧。おにぎりは見事だった。だが、私の『二人あやとり』は、相手の精神を吸い取ってしまうぞ。果たして最後まで正気でいられるかな…」

 

 

 

 

 


ケルベロスが取り出したのは、黄金色に輝く、異常に長い糸だった。

 

 

 

 

 


「……二人あやとり? 相手と一緒に作るやつですか?」

 

 

 

 

 


「そうだ。だが、これは協力ではない。……主導権の奪い合いだ。先に糸を詰ませるか、あるいは形を崩した方が、即、失格となる!」

 

 

 

 

 

 


健とケルベロスが、一枚の畳の上で対峙する。これまでは一人ずつ交互に形を作っていたが、今度は、交互に指を入れ、一つの形を延々と更新し続けるのだ。

 

 

 

 

 

 


「……行くぞ。まずは『田んぼ』だ!」

 

 

 

 

 


ケルベロスが、基本の形を作った。

 

 

 

 

 


「……『川』へ繋ぎます…」

 

 

 

 

 

 


健が、指を入れる。

 

 

 

 

 

 


「……『カエル』!」

 

 

 

 

 

 


「……『山』!」

 

 

 

 

 

 


二人の指が、激しく交錯する。まるで、四本の腕を持つ阿修羅が舞い踊っているかのような、壮絶な光景。形は秒単位で変わり、複雑さを増していく。田んぼが川になり、川が山になり、山が家になり、家が飛行機になった。

 

 

 

 

 


「……ダメだ、速すぎる! 指が、ケルベロスの指に当たって、火花が散りそうだ…」

 

 

 

 

 


それでも、健は必死に食らいついた。

 

 

 

 

 

 


「……健。……お前、なぜあやとりをしている? ……遊びか? ……それとも?」

 

 

 

 

 


時折、放たれるケルベロスの言葉が、精神的なプレッシャーとなって健を襲う。

 

 

 

 

 


「……あやとりとは、絆だ。……糸という一本の線を、二人で共有し、新しい世界を創り上げる。……お前には、その責任が取れるのか!」

 

 

 

 

 


ケルベロスが放った形は、これまでに見たこともない、幾重にも重なる「檻」。

 

 

 

 

 

 


「……これが、私の『絶望の監獄』だ。……さあ、ここからどうやって、お前は自由を掴み取る?」

 

 

 

 

 


健の手が止まった。どこを見ても、糸がピンと張り詰め、少しでも動かせば全体が崩れてしまう。

 

 

 

 

 


「……もう、無理だ。……指を入れる隙間がない……」

 

 

 

 

 

 


健の意識が遠のきそうになったその時。敗れたジョーと鉄が、背後から声をかけた。

 

 

 

 

 


「健! 指先を信じろ! 俺たちの負けた分を、その小指に乗せるんだぁ!」

 

 

 

 

 

 


「おにぎりの温もりを忘れるな! 宇宙は、今お前の手の中にある!」

 

 

 

 

 

 


健は、目を開けた。そうだ。これは、敵対する戦いではない。自分とケルベロス、そして見守る全員が、この一本の糸で繋がっている。

 

 

 

 

 


「……ケルベロス。……監獄なんて、そんなものは壊してしまえばいい!」

 

 

 

 

 


健は、あえて最も危険な、中央の結び目に指を突っ込んだ。

 

 

 

 

 


「……なにっ!? そこを触れば、すべてが解けてしまうぞ!」

 

 

 

 

 


「ちがう。……解けるんじゃない。……広がるんだぁ!」

 

 

 

 

 


健が、勢いよく両腕を広げた。すると、複雑に絡み合っていた糸が、スルスルと解け、空中に巨大な、そう、あまりにも巨大な「円」を描いた。

 

 

 

 

 

 

 


第五章:平和への指先、地下からの脱出

 

 

 

 

 

 


黄金の糸が描いた円。それは、部屋の壁際まで広がり、全員を包み込むような形になった。

 

 

 

 

 

 


「……これは……」

 

 

 

 

 


ケルベロスが、呆然と呟いた。

 

 

 

 

 


「……『世界平和』の形です。……みんなが、一本の糸を共有して、大きな輪になる。……これこそが、あやとりの最終奥義……じゃないですか?」

 

 

 

 

 

 


健の言葉に、ケルベロスは、持っていた糸の端を静かに離した。

 

 

 

 

 

 


「……負けた。見事だ…………私の監獄を、世界に変えてしまうとは…」

 

 

 

 

 


ケルベロスは、健二の肩をガッシリと掴んだ。

 

 

 

 

 


「……見事だ、小僧。……いや、健。……お前こそが、今日からこの地下あやとり格闘技の、名誉会長だ!」

 

 

 

 

 


「……え、いや、いきなり、会長とか、困るんですけど……」

 

 

 

 

 


「ダメだ、断らせんぞ! さあ、祝杯だ! 今夜は、最高級の毛糸で、みんなで巨大な『お城』を作るぞー!」

 

 

 

 

 


野太い男たちの合唱が、地下最下層に響き渡った。
健は、結局、朝まで男たちと一緒にあやとりをさせられた。夜が明け、地上へと続く階段を上りながら、健は自分の指先を見つめた。マメができ、少し赤くなっているが、そこには確かに「何かを成し遂げた」という誇らしい感触があった。

 

 

 

 

 

 

地上の世界は、相変わらず騒がしく、複雑だった。人々は、自分の足元のすぐ下に、こんなにも純粋で、かつバカげた「指先の戦場」があることなど、知る由もない。健は、ポケットに残っていた短い糸を取り出し、指先で小さな「蝶々」を作って、朝の風にそよがせた。

 

 

 

 

 

 


「……地下には、確かに悪いウワサがあった。……でも、それは、中毒性が強すぎるっていう意味だったんだ…」

 

 

 

 

 


健は、自分の指先をパチンと鳴らした。数日後、彼の住む大学の掲示板には、新しいサークルの部員募集ポスターが貼られた。

 

 

 

 

 


『あやとりサークル・地獄の番犬。筋肉自慢、集まれ。……ただし、指先の繊細な奴に限る!』

 

 

 

 

 


そのポスターの横には、なぜか毛糸で作られた小さな「おにぎり」が、お守りのようにぶら下がっていた。噂は、また新しい噂を呼び、地下から地上へと、じわじわと広がっていく。
 

 

 

 

 

 


平和とは、案外、指先一つで守れるものなのかもしれない…