SCENE

誰かの朝、誰かの夜。 すれ違う時間の中に、物語はひっそりと立ち上がる。 喜びや痛みが言葉になる前の、かすかな瞬間をすくい取るように。 これは、世界のどこかで息づく人々の、小さな「場面(シーン)」の記録です。by-魚住 陸 Riku Uozumi

SCENE#374 世界中どこの国でも、移民政策が大失敗! Global Migration Meltdown


「世界中どこの国でも、移民政策が大失敗!」という、どの政府も頭を抱える超一級のタブー。しかし、経済の数式と人間の欲望が複雑に交錯するその最前線は、客観的に眺めれば滑稽極まるドタバタ劇の宝庫です。今回は、世界経済の構造的欠陥と各国政府の迷走を極上のユーモアで包み込んだ、辛口の爆笑漫談を5つの演目(エピソード)としてご披露いたします。

 

 

 


 【第一席】

 


 カナダの「定員オーバー・どん引き劇」  ブレーキとアクセルを同時に踏みちぎった先進国の末路…

 

 

 


「さ〜て、お立ち会い! 移民大国として世界のお手本だったはずのカナダが今、全力でドリフトしながら自爆しております!」

 

 

 


かつてカナダ政府は「我が国は広大だ! 人口が足りないから世界中の秀才も凡才も、とにかく全員ウェルカム!」と、大盤振る舞いの移民誘致政策を誇っていました。ITエンジニアから留学生、起業家まで、文字通り門戸を開放し尽くしたのです。その結果どうなったか…

 

 

 

 


「人が来すぎて、住む家がガチで消滅しました!」

 

 

 


家賃は天文学的に跳ね上がり、地元の若者は実家から出られず、夢を抱いてやってきたエリート移民たちが「すいません、家がなさすぎて公園のベンチで寝そうなんですけど…」と頭を抱える始末。慌てた政府は、速攻で手のひらを返し、受け入れ枠を大減殺する超強力なブレーキを踏み込みました。

 

 

 

 


しかし時すでに遅し。現在カナダで起きているのは、急激な方針転換による「全員総立ちの椅子取りゲーム」です。昨日まで「将来の国民候補」とチヤホヤされていた留学生や労働者が、突然「明日までに退去ルートを探せ!」と宣告されるカオス。しかも、必死に呼び込んだはずの優秀な理系人材(STEM系)は、「こんな物価高で家もない国にいられるかよ!」と、隣のアメリカへ一目散に脱出しています。

 

 

 

 

 


「労働力を増やして経済を拡大するはずが、結果として家賃だけを爆上げし、優秀な人材をアメリカに横流しするだけの『壮大なボランティア国家』に成り下がったカナダ! 誰も得をしていないこの完璧なすれ違い、まさに経済学の教科書に載せるべき傑作コントでございま〜す!」

 

 

 

 

 


【第二席】

 

 

 


欧州の「ブーメラン雇用奇譚」  排斥運動の裏で、誰も泥をかぶらないラグジュアリー社会の欺瞞

 

 

 

 


「はい、続きましては、伝統と人権を重んじるヨーロッパ諸国の、なんとも味わい深い『自縄自縛(じじょうじばく)』の笑い話でございます!」

 

 

 

 


欧州各国では今、「移民反対! 我々の仕事を守れ!」と叫ぶ右派の政治運動が空前の大ブームを迎えています。選挙のたびに「国境を閉鎖せよ!」というシュプレヒコールが響き渡り、政治家たちも「分かりました! 移民はもう入れません!」とドヤ顔で宣言する。ここまでは、よくあるニュースの光景です。
ところが、いざ国境の鍵をガチャンと閉めて、国内を見回した途端、とんでもない喜劇が幕を開けます。

 

 

 

 


「あ、あれ? 街のゴミが一切回収されないぞ? レストランのお皿洗い、誰もやってないぞ? 介護施設のベッドメイク、人っ子一人いないぞ!?」

 

 

 

 


そう、移民を排斥した結果、これまで彼らが低賃金で支えていた「誰もやりたがらない過酷なインフラ労働」が完全停止したのです。怒り狂っていた地元住民に政府が「さあ、皆さんの望み通り移民はいなくなりました! 明日からあなたが時給千円で深夜の清掃と農作業をやってください!」とお願いすると、全員がサッと目をそらし、「いや、私はオフィスで優雅にコーヒーを飲む仕事がいいです!」と拒絶する。

 

 

 

 


結果として、イギリスや欧州諸国では「移民を減らしたせいで国内総生産(GDP)が急降下し、経済が餓死寸前になる」という凄まじいブーメランを食らっています。

 

 

 

 


「口では『不法移民は出て行け!』と叫びながら、彼らが密かに作ってくれた格安のトマトを貪り食う。この矛盾に満ちたラグジュアリーな引きこもり経済、笑わずして何と見ましていきましょう!」

 

 

 

 

 

 


 【第三席】

 

 

 


アメリカの「壁と抜け穴のパラドックス」  数兆円を投じた国境の壁が、ただの「密輸業者のビジネスコンサル」になった話

 

 

 

 


「さあ、お次は世界最大の経済大国アメリカ! あそこは笑いのスケールも文字通り桁違いでございます!」

 

 

 

 


アメリカの移民政策といえば、選挙のたびに数千億円、数兆円という巨費を投じて国境に巨大な「壁」を作ったり、あるいは軍隊並みの警備隊を配備したりすることで有名です。「一歩も中には入れないぞ!」という、強固な意志の表れですね。

 

 

 

 


しかし、このガチガチの防衛策が、世界で最もクリエイティブな「闇のイノベーション」を生み出す原動力になってしまいました。国境を厳しくすればするほど、生身の人間が普通に渡ることは不可能になります。するとどうなるか…

 

 

 

 

「密航を請け負う犯罪組織(コヨーテ)」の技術力がNASA並みに進化してしまったのです。

 

 

 

 

「壁が高くなった? よし、最新ドローンでルートを監視し、地下数百メートルに冷暖房完備の密輸トンネルを掘ろう!」という、謎の超ハイテク化が発生。結果として、国境ビジネスの単価が跳ね上がり、犯罪組織が大儲けするという、あまりに皮肉な市場原理が働きました。

 

 

 

 


さらに滑稽なのは国内の状況です。アメリカの農業や建設業は、彼ら「不法」とされる労働力が安価に働いてくれないと、一瞬でハイパーインフレを起こして崩壊する構造になっています。つまり、表の政治では「絶対に入れるな!」と激怒し、裏の経済では「頼むから検問をすり抜けて、明日の収穫を手伝ってくれ!」と祈っている。

 

 

 

 


「政府が巨額の税金を使って壁を建てるたびに、密輸業者のコンサルティング費用が高騰し、最終的にスーパーのレタスの値段が跳ね上がる。これぞ、世界一贅沢な一人相撲でございます!」

 

 

 

 

 

 

 


【第四席】

 

 

 

 


 アジアの「おもてなし砂漠化計画」  『選ばれる国』だと勘違いし続ける、少子高齢化の老舗トップランナー

 

 

 

 


「さあ、我がアジア圏、特に少子化で絶滅の危機に瀕している東アジアの国々も、負けじと強烈なボケをかましております!」

 

 

 

 


アジアの某先進国などは、世界で最も深刻な労働力不足に直面していながら、「我が国の伝統と治安を守るため、移民という言葉は絶対に使わない! あくまで一時的に労働力を『お借りする』のだ!」という、謎のプライドを崩しません。技能実習や特定技能といった難解な名前の資格を乱発し、ガチガチの官僚主義で外国人を受け入れようとします。

 

 

 

 


彼らの基本姿勢は常に上から目線。「我が国は素晴らしいアジアのリーダーだから、世界中の若者が喜んで働きにくるはずだ!」という、幸福な勘違いに浸りきっているのです。

 

 

 

 


しかし、現実の世界経済はそんなに甘くありません。現在、世界中で激しい「優秀な人材の争奪戦」が勃発しています。他国が「永住権もあげるし、家族も呼んでいいよ! 給料もドル建てでガッツリ払うよ!」と猛烈なプロモーションをかけている中で、このアジアの国は「日本語を完璧にマスターせよ!ただし家族の同伴は認めません!あ、ボーナスはないからね!」という、超絶ブラックな条件を提示し続けています。

 

 

 

 


その結果、どうなったか。海外の若者たちから「タイやヨーロッパに行ったほうが稼げるしハッピーじゃん。あの国に行くメリット、何?」と、完全にスルーされる事態に陥りました。

 

 

 

 


「誰も応募してこない求人票を誇らしげに掲げ、ガラ空きの受付デスクで『うちは審査が厳しいからね』と腕を組んでいる頑固親父。その背後で、国全体の工場や介護現場が静かに限界を迎えているこのシュールさ。笑うに笑えない、究極の勘違いコントでございます!」

 

 

 

 

 

 


【第五席】

 

 

 

 


「ブレイン・ドレイン(頭脳流出)大運動会」  途上国が育てた天才を先進国が買い叩き、全員で貧しくなる地獄のサイクル

 

 

 

 

 


「さあ、結びの一席は、地球全体を巻き込んだ、壮大かつ悲惨な『人材の泥棒合戦』、ブレイン・ドレイン大運動会でございます!」

 

 

 

 


世界経済の建前としては、「先進国が途上国に援助を行い、現地の教育やインフラを育てて世界を豊かにする!」ということになっております。実に美しいお話ですね。

 

 

 

 


ところが、移民政策の「失敗」と「エゴ」が絡み合うと、この美しい前提が完全にひっくり返ります。
途上国が国家予算を血のにじむような思いで捻出し、何十年もかけて医療の天才ドクターや、超優秀なITエンジニアを育て上げたとします。さあ、これから我が国の発展のために働いてもらおう! と思った瞬間、先進国が横からヌッと手を伸ばすのです。

 

 

 

 

 

 

「やあ、我が国は今、深刻な少子化で医者もエンジニアも足りなくてね。君、今の10倍の給料でニューヨークやロンドンに来ないかい?」と…

 

 

 

 


天才たちは当然、一瞬で荷物をまとめて先進国へ飛び立ちます。これによって、途上国は「莫大な教育コストをかけたのに、果実だけを先進国にかすめ取られる」という、構造的ハイジャックの被害に遭うわけです。

 

 

 

 


では、引き抜いた側の先進国は幸せになったのか? これが全く笑えません。前述の通り、受け入れ側の都市では家賃が高騰し、医療制度の事務手続きはパンク。さらに、現地にやってきた天才ドクターが、複雑な移民ビザのバグのせいで「病院で働けず、なぜかウーバーイーツの配達員をやっている…」という、狂気のような人材のミスマッチがそこかしこで発生しています。

 

 

 

 

 


「送り出した国は優秀な人材を失って衰退し、迎え入れた国はその才能を官僚主義の壁で殺してピザを運ばせる。地球上の全プレイヤーが損をしているこの大運動会、まさに世界経済が仕掛けた、最大最強のブラックジョークと言えるのではないでしょうか!」

 

 

 

 


「――お後がよろしいようで。どうも、ありがとうございました!」